専門力のベースとなる基本スキル向上のために|コラム|人材育成・教育研修

2017.03.13

ビジネス環境の変化がますます激しくなっている昨今、ビジネスパーソンに求められるスキルとは何でしょうか。各業種・職種の専門性を高めることは極めて重要ですが、専門性が有効に機能する期間も短くなる傾向にある中、専門性の土台となる「基本スキル」の重要性がより高まっています。今回はこの「基本スキル」についてお伝えします。

近年高まる基本スキルの重要性

グローバル化、ライフサイクルの短期化、ITの進展などビジネス環境の変化がますます激しい昨今、ビジネスパーソンには、様々なスキルが求められるようになっています。

これに対応していくために、各業種・職種の専門性を高めることは、極めて重要です。ただ、この専門性が有効に機能する期間も短くなっていく傾向にあります。このような中、専門性の土台となる基本スキルの重要性がより高まっています。一言で「基本スキル」と言っても、必ずしもオーソライズされた定義があるわけではありませんが、当社では、多くのコンサルティング経験から以下4つの項目にカテゴライズしています。いずれも仕事をしていく上で、極めて重要な基本スキルです。

ビジネスパーソンに必要な知識(Business Knowledge)

経済、経営、マーケティング、財務など業種、職種を問わない知識を指します。

仕事の計画力や進め方(Planning & Control)

目的・目標、計画、実行、評価、改善のプロセスを言い、実務家のビジネスパーソンに必須の業務遂行力を指します。

コミュニケーション力(Communication)

社内(上司、同僚、部下、他部門)、社外(お客さま、仕入れ先、取引先など)へのビジネスマナー、関係構築、口頭伝達、文書伝達、ネゴシエーション、ファシリテーションなどを指します。

思考力(Thinking)

情報収集、課題設定、解決策立案、思考法、フレームワーク、アイデアなどを指します。基本スキルの中でも、最も土台のスキルと言えます。

人事評価から見る基本スキルの評価

基本スキルとして上述した4つの項目については、重要度の大小はあれ、多くの会社で人事評価項目にも取り入れられ、基本スキル、コンピテンシーなどの評価で実施されています。ここで、少し人事評価について触れていきたいと思います。

人事評価の主な目的は各社で様々ですが、多くの企業で、給与・賞与の決定、昇格・昇進、人材配置、人材育成を目的としています。特に最後の人材育成については、目的が達成できるか否かは、評価された本人の中に評価結果に対する「納得感」が醸成されていることが大切です。当社では、多くの会社に対する人事評価制度構築のアドバイスから、納得感の醸成には5つのポイントが欠かせないと考えています。

  • (1) 上司(評価者)と部下(評価される側)の信頼関係
  • (2) 上司と部下の人事評価制度の理解
  • (3) 適切な評価項目の設定
  • (4) 上司による適切な評価
  • (5) 上司から部下への適切なフィードバック

一つ一つのポイントの詳細についてはここでは割愛しますが、5つのポイントのうち、基本スキルの評価において特に難しいのが、4つ目の「上司(評価者)による適切な評価」です。

納得感醸成の5つのポイント

人事評価で部下が納得感を得るために必要なこと

基本スキルの評価方法

基本スキルの評価は人事評価の能力開発目標として目標管理をしたり、日々の業務の様子や行動を上司(評価者)が観察したりすることで評価している企業が多くあります。ただ、本人の成長につなげていくためには、納得感の醸成、言い換えると「正しい自己認識」がないと難しいと言えます。

正しい自己認識を促す3つの要素は、以下の通りです。

  • ・客観性
  • ・定量性
  • ・明確で一貫した基準

この要素で見たときに、正しい自己認識を促す適切な方法としては、テストの実施があります。もちろん、前述した目標管理や業務の様子・行動の観察のフィードバックが不要というわけではなく、それらに加えてテストを実施することで、正しい自己認識が強まります。

テストの結果は、直接評価に使うか否かは別として、基本スキルの向上のための施策としてのOJT(On-the-Job Training)・OFF-JT(Off-the-Job Training)・自己啓発に利用すると効果的です。

正しい自己認識を与える方法

正しい自己認識を与える方法

基本スキルの伸ばし方

基本スキルを向上させるため、企業ではOFF-JTとして研修を実施するケースが多くあります。コミュニケーション研修や、ロジカルシンキング研修など、当社でも提供しているテーマとして多くあります。ただ、OFF-JTの研修で効果を出すためには、まず、受講者自身が、この研修の目的・必要性を受講前に明確にしていかないと、ただ漠然と聞いただけ、参加しただけの時間になってしまいます。もっとよくないのは、「なんで忙しいのに自分はこのような研修に出る必要があるんだ」「自分はできているのに、こんなレベルの低い研修は必要ない」など受講者が研修に参加する意味、意義を理解していない場合です。これでは全く無駄な時間になってしまいます。正しい自己認識を醸成しているとこのようなことは起こりづらく、OFF-JTの研修も効果が出やすくなります。

また同じことは、日本の企業のほとんどが実践しているOJTについても当てはまり、上司が仕事をアサインした際に部下が同じような感想をもつ場合があります。「この仕事は、すでに自分はできるので、ただ、退屈な仕事で成長できない」というような意見です。仕事をアサインする際に部下に仕事の意味・意義を伝えることの重要性はマネジメントの中でよく言われていることですが、この納得感についても正しい自己認識が醸成されていた方が、OJTによる成長がより促されやすくなります。

多くの企業において、高い専門性を身に付けることをビジネスパーソンに期待していますが、高い専門性は、業務を遂行する中で、経験の蓄積から身に付くケースも多くあります。ただ、基本スキルは意識的に付けるようにしないと、いくら業務を経験しても身に付きにくいものです。 貴社におかれましても、「正しい自己認識を醸成する仕組み」を入れ、OJT、OFF-JTを活用した「基本スキルの向上」をより推進していかれることを推奨したいと思います。

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