中途採用者が入社後活躍するために、上司・会社が取り組むべきこととは|コラム|人材育成・教育研修

2017.03.27

即戦力を期待しての中途採用。経験はぴったりのはずなのに、思ったように活躍してくれない・・・なんてことはないでしょうか。今回は中途採用に関する課題の中でも入社後の育成、特に新しい組織に適応するために求められる知識・スキルとその能力開発に必要なポイントをご紹介します。

中途採用者が身に付けるべき知識・スキル

中途採用に関する研究では、中途採用者が入社後に身に付けるべき知識・スキルが明らかにされています。

新入社員のように、組織に新規参入するメンバーが組織で必要となる知識、技能、規範、役割などを受け入れ、メンバーとして順応するプロセスを「組織社会化」と言います。これに対し、中途採用者のように「以前勤めた組織で求められた知識、技能、規範、役割」などを持っている状態から、新しい組織の知識や技能を受け入れ、メンバーとして順応することを「組織再社会化」と言います。

東京大学の中原淳准教授の研究によると、中途採用者が組織再社会化を図る上で必要な知識・スキルは大きく4つあると言われています。

  • (1)「人脈政治知識の獲得」
  • (2)「学習棄却」
  • (3)「評価基準・役割の獲得」
  • (4)「スキル・知識の獲得」

「人脈政治知識の獲得」

会社の組織構造、各部門の役割、事実上誰に力があるのかなどといった社内に関する事柄を理解することです。例えば、社内稟議における暗黙のルールなどが該当します。役職名からは分からない実質上のキーマンに事前に話を通しておく必要がある、といった会社内部の知識を獲得することです。

「学習棄却」

現在の職場で通用しない以前の職場での仕事のやり方、知識、スキル、仕事の考え方といったものを捨てることです。
なお、中途入社後の職種が前職と類似しているほど、この「学習棄却」に困難を感じる傾向があるとの調査が出ています。

「評価基準・役割の獲得」

上司や顧客から何を求められているのかなど、仕事の要求レベルと果たすべき役割に関する事柄を理解することです。会社からの期待、求められる行動などを明確にし、なぜそれが求められるのかといったレベルまで深く理解することです。

「スキル・知識の獲得」

仕事で必要な技能・知識の獲得に関する事柄です。例えば、前の会社とはメールシステムが異なり操作方法が分からないといったような業務に関する細かい知識から、仕事を行う上で必要となる業界・業務知識の獲得が挙げられます。

4つの知識・スキルを身に付けるポイント

中途採用者に上記のポイントを身に付けてもらうには、「上司」と「会社としての取り組み」が重要です。
中途採用者は「即戦力」として職場に投入されるため、「周囲に支援を要請することが難しい」傾向があります。しかし、上司は指揮系統に当たり、それには該当しないことが分かっています。そのため、上司がいかに中途採用者を支援するかがポイントです。中途採用者の組織再社会化は上司によるマネジメントとセットで考える必要があり、上司が業務経験を付与し、進捗管理を行い、フィードバックを受けて返す、といった情報交換が非常に大切です。
これによって、「学習棄却」「評価基準・役割の獲得」「スキル・知識の獲得」の3つにおいて、中途採用者は正の影響を受けることが分かっています。残りの「人脈政治知識の獲得」のみ、上司単独では担えず、職場におけるコミュニケーションの中で獲得されるものであると考えられており、いかに会社として環境整備ができるかが問われます。例えばオフィシャルなかたちで職場における情報交換の機会を増やすような取り組みが必要と言われています。
今後のグローバル化の進行に伴い、中途採用の幅も広がることが予測されます。「多様性」のある人々をいかにマネジメントし、組織になじませるのか、そのためにマネジャーの力量をいかに高めるかが、中途採用者の入社後の活躍における人材マネジメントの課題と言えるのではないでしょうか。

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