メンター制度がもたらす組織の活性化とロイヤルティ向上|コラム|人材育成・教育研修

2017.08.30

「師匠」といった意味でも使われることの多いメンター。しかし企業におけるメンター制度は少し意味合いが異なります。今回のコラムでは、当社にもご相談の多いメンター制度について、定義から事例、導入の際のポイントなどを考えてみたいと思います。

メンターとは? OJTとは別物

当社は企業の人材育成を様々な形で支援させていただいているので、人事部の方から人材育成に関するご相談を日々いただいています。その中で、「メンター制度を導入したい」というご相談も多くいただきます。メンターとは、新入社員や社会人歴の浅い後輩に対し、仕事上だけでなく個人的な問題・悩みに広く相談に乗り、助言を行う人のことを指します。メンター制度は業務上の指導を行うOJT(On-the-Job Training)とは別物です。

メンター制度がもたらす組織の活性化とロイヤルティ向上

メンターにサポートを受けることを「メンタリング」と呼び、メンターからサポートを受ける人のことを「メンティー」と呼びます。企業におけるメンター制度では、一般的に直属の先輩・上司ではなく、別部署の先輩社員がメンターとなるケースの方が多く見られます。理由はメンター制度がOJTと別物であり、メンターの役割が以下のようなものであることが関係しています。メンターの役割は、メンティーの手本となり、組織人としての成長を支援することです。例えば、①メンティーの業務上の問題に対して相談に乗り解決策を見いだす支援をする、②悩みの相談に乗ることで精神的安定の支援をする、③メンターの持つ技術やマインド、ノウハウを伝承しメンティーの育成を図る、などです。

メンター制度の導入により、メンターとメンティーを中心に企業内のコミュニケーションが活性化し、組織としての成果につながることが期待できます。また、新入社員や若手社員のモチベーションが高まることで離職防止につながり、ノウハウの蓄積が進むだけでなく、採用コストの低減にもつながります。このように、若手社員を中心に組織が活性化し、組織に対するロイヤルティが高まることが期待されるため、メンター制度の導入を検討される企業が多いのです。

メンター制度のメリット

では、メンター制度を導入することは、当事者にとってどのようなメリットがあるでしょうか。
まずメンタリングを受ける側であるメンティーにとっては、社内での立ち居振る舞い方や「誰がどんな情報を持っているか」といった社内の暗黙知など、組織に慣れていない・馴染んでいないために悩んだり不安に思ったりしていることを解消できることで、業務をよりスムーズに遂行できる点が挙げられます。メンターからの第三者視点によるフィードバックで成長や課題を実感し、次の行動への動機付けを得ることなどもメンティーにとってのメリットです。
一方、メンタリングをする側であるメンターにとっては、後輩の手本となることで仕事に対する意識・姿勢を見直し、目線を高めるきっかけが生まれます。また、ドラッカーが「人は自らが教えるときに最もよく学ぶ」と言う通り、指導・育成することで業務の習熟度向上やコミュニケーション能力向上、基礎的なマネジメント力の形成などが望めます。

メンター制度の導入事例

実際の事例を見てみましょう。
あるIT企業では、入社1年目の社員に対しメンターが毎日終業10分前に面談をしています。就業時間以降はアルコールの飲用も認められており、和やかな雰囲気の中でメンター・メンティーのコミュニケーションが図られています。
メンター対象者は新入社員が入社してくる直前の3月下旬に集まり、人事部によるレクチャー及びディスカッションでメンターとしての心構えを得る機会があります。社内には、メンターになると逆に新人から気付きを貰えるという意見も聞かれるとのことで、メンター制度がいい形で浸透している事例と言えます。

別のIT企業では、現場の上長がメンターを指名していますが、人事部によるサポートもなく、メンターにアサインされた社員は「押し付けられた」という感じで前向きに取り組めていません。せっかく導入したメンター制度も、これでは現場の士気が下がる一方です。

また、あるWebサービスを提供する会社では、メンターに加えメンターの上司をチューターとして、一緒になってメンティーをサポートする仕組みを設けています。同社の場合、OJT・業務サポートと精神的サポートの両方を目的として、それぞれ情報共有ツールを用いながら定期的にメンターとメンティー、またはチューターも含めた3者でミーティングを実施します。以前は年次の離れた社員を新卒指導者として任命していましたが、いつのまにか業務都合等を理由に風化していました。今ではメンターに任命された先輩社員も本を読んだり、人に教えるためにインプットしたり、といい循環が生まれているようです。

メンター制度を人材育成に活用する際のポイント

メンター制度は人と人のつながりの部分が多く、「こうしたら良い」という確実で正しい方法があるものではなく、企業や組織の状況によって導入・運用のポイントは異なります。しかし、どのような企業にも、共通して押さえるべき活用のポイントがあります。
まず、メンターに求める役割を明確に設定することが重要です。ありがちな失敗は「あの子の面倒を見てあげて欲しい」という大雑把なアサインです。メンティーの精神的な支援だけを期待するのか、業務上の問題解消支援やメンティーの育成までを想定するのかなどを明確にしないと、メンターが具体的に何をすれば良いのか分からないまま、「ただなんとなく話を聞いて終わり」といったことになりかねません。また、メンターが人材育成の基本方針を理解し、人材要件や人事評価項目も理解しておくこともポイントです。
次にメンターの選定に当たって、メンティーの業務・スキルと、メンターとなる社員の業務経験や保有スキルを考慮して、メンターとメンティーの組み合わせを決定する必要があります。気軽に相談できる人をメンターにすることもポイントです。例えば、「メンター制度も人材育成の一環だから」と人事部のメンバーをメンターにしてしまっては、「評価されてしまうのでは...」などとメンティーが委縮してしまう可能性もあります。

メンターには傾聴をベースとするコミュニケーション能力や課題解決へ導くコーチング力の他、守秘義務意識や高い倫理観も必要となります。メンターにアサインする前に、これらの知識・スキル・心構えを体系的に学ばせることも大切です。
また、原則としてメンターとメンティーの関係は1対1ですが、全てをメンター任せにせず、職場ぐるみで育てることを意識することも大切です。メンターが対応できない状況が発生した場合には、メンティーの先輩や上司、人事担当者と連携できるような体制を予め整えておくとよいでしょう。

どんな制度にも言えることですが、メンター制度を導入して終わりではなく、人材を育成する環境を整えることがメンター制度の目的です。メンター・メンティーに期待する能力や役割を明確化し、メンターに負荷がかからない工夫を凝らすことが大切です。必要に応じてメンター・メンティーからのヒアリングも行い、目的に沿った運用になっているかを確認する必要もあります。当社でも豊富な事例を基に、貴社に合ったメンター制度の仕組みやツールを提案させていただくことが可能です。ぜひお問い合わせください。

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