新入社員育成のコツとは?新人・若手社員のモチベーションを高める接し方と育成方法|コラム|人材育成・教育研修

新入社員育成の成功のカギとなるのが、先輩社員や上司の「新入社員に対する接し方」です。皆さんの社内で、「新入社員が何を考えているのか分からない」、「新入社員のモチベーションが低く、悩んでいる」といったお悩みはございませんか。今回は、新入社員との接し方、具体的な指導方法についてお伝えします。

新入社員育成のコツとは?新人・若手社員のモチベーションを高める接し方と育成方法|人材育成コラム_3

新入社員育成とは?

新入社員育成とは、新入社員が企業で活躍できるようになるための教育です。育成すべきテーマとしては、社会人としてのマインドセット、ビジネスマナーの習得、コンプライアンスの理解と順守、業界・会社・職場についての理解などが挙げられます。新入社員育成は、OJT担当者や上司からの指導、研修などを通して行われます。

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新入社員について知る

最近の新入社員の傾向

現場の管理職、先輩社員、人事の皆さんの中には、「最近の新入社員は何を考えているのかよくわからない」、「新入社員が言われたことしかやらず、困っている」など、新入社員に対して様々な感情をお持ちの方が多いのではないでしょうか。新入社員育成を行う中で大切なことは、相手を知ることです。新入社員がどんな環境で生まれ育ち、どんなことを考えているのか、データをもとにひも解いていきたいと思います。

新入社員の特徴1.
「失敗が恐い」「答えがないと動けない」

最近の新入社員は、デジタルネイティブ世代といわれ、子供や学生のころから身の回りにインターネットが当たり前のようにありました。つまり、何かに悩んだとき、つまづいたときに、すぐに検索できるという環境があったということです。その結果、自分で考えて行動するよりも先に、まず調べたり、人に聞いてから行動するという習慣が身についています。このように、経験をする前にまず準備をしてから行動したいという特性を「経験前学習」といいます。こういった特性のある新入社員は、先輩社員や上司から「まずは行動だ!」、「失敗して学べばいい」と言われても戸惑うことが多いようです。

新入社員の特徴2.
「出世よりも楽しく働きたい」「プライベートも充実させたい」

公益財団法人日本生産性本部が新入社員に実施した「働くことの意識調査」の結果によると、新入社員の働く目的は、「楽しい生活をしたい」(2017年度:42.6%→2018年度:41.1%)が過去最高水準となりました。一方、これまで上位を占めていた「自分の能力を試す」という回答は長期にわたって減少し続けています。(2018年度:10.0%)
加えて、働き方に対する希望については、「人並で十分」という回答が過去最高(61.6%)となっています。これらの調査結果は、当社で実施している新入社員向けのアンケート調査結果を見ても、同様の傾向が読み取れます。例えば、「定時に帰りたい」と回答する人の割合は年々増えており、2018年の調査の結果によると、男女合わせた結果が4割を超えていました。つまり、多くの新入社員は、楽しく充実した人生を送るための1つの要素として仕事を捉えている傾向が強いのではないでしょうか。

新入社員の特徴3.
「今の会社で働き続けるかはわからない」「将来やりたいことが明確ではない」

これまでは「終身雇用制」「年功序列」が当たり前の世の中でしたが、近年はそうではない企業も増えているのではないでしょうか。実は、働き続けることに対する新入社員の意識にもある変化が見られます。たとえば、当社で行っている新入社員向けのアンケートの結果を見ると、「今の会社で働き続けたい」という新入社員の割合は3年連続で減少(2015年度:63.4%→2018年度:53.8%)しています。求職者優位の売り手市場や様々な働き方が推奨される世の中の流れが、こういった数字に表れているのではないでしょうか。
また、キャリアについての考え方も見てみましょう。ここ数年間で、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」(2014年度:18.4%→ 2018年度:21.3%)、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」(2014年度:17.6%→2018年度:19.7%)と考える新入社員が増えています。
つまり、「入社した会社でずっと働き続け、上を目指していきたい!」という新入社員は年々減っていると考えることができます。

こんな新入社員が皆さんの会社にもいるかもしれません

上記の3つの特徴から浮かび上がってくるのは、こんな新入社員像ではないでしょうか。

Aさん 23歳 女性
入社の理由は、福利厚生がしっかりしているため。プライベートも、友人関係も、仕事もすべて充実させたい。バランスが重要。これまで挫折の経験も少なく、なるべく叱られたくない。

Bさん 23歳 男性
将来やりたいことは特になく、強いてあげるなら管理職よりは専門職として働いていきたい。会社のイベントにはそこまで興味がなく、趣味の時間も大切にしていたい。残業はたまにならいいが、毎日続くのはちょっと厳しいと考えている。人並み程度に働くことを望んでいる。

このような特徴を持つ新入社員をどのように育成すべきでしょうか。ここからは、新入社員育成の具体的なコツやポイントを見ていきましょう。

新入社員育成を成功させるためのコツ

上司・先輩としての心構えと接し方

(1) 一人ひとりが異なる特徴を持っていることを理解する

まず、第一に大切なのが、「相手を理解すること」です。新入社員と皆さんとでは、生まれ育った時代背景や環境がきっと異なることでしょう。まずは、相手がどんな人間で、どんな特徴を持っているのか理解することが大切です。上記でお伝えした新入社員全体の傾向を知ることはまず第一歩として大切ですが、すべての新入社員が同じことを考えているわけではないため、一人ひとりの特徴を把握して接することが理想です。具体的には、日々の会話や面談の中で新入社員の話を聞いてみましょう。もちろん先輩や上司として様々な話をする必要もありますが、新入社員がどんな思いで入社したのか、どんな働き方を求めているのかといった思いを聞き出すことが、相手を知るきっかけになります。

(2) 自分の考え方、これまでやっていたことを押し付けない

新入社員育成を行う中でよく陥りがちな失敗として、「上司や先輩が自分の考えややり方を押し付けてしまう」ということがあります。「私が新入社員の時はこうやって成長した」、「こうやればうまくいく」といったアドバイスは、必ずしも今の新入社員にも当てはまるベストなやり方ではないかもしれません。もちろん、新入社員を育成する中で皆さんの知識や経験は必要不可欠です。ただし、「どう学ばせるか」「どう伝えるか」ということは、自社の新入社員の状況に合わせてアドバイスをしてください。

(3) 自分がお手本を示し、ロールモデルとなる

新入社員は上司や先輩の行動や発言をよく見ています。新入社員育成の担当になる場合、自分自身がお手本となる行動がとれているかを意識しましょう。社内ルールの順守、挨拶、ビジネスマナー、言葉遣い、報連相など、皆さんが率先垂範することが新入社員にとってのわかりやすい見本となります。一方で、上司や先輩が会社の愚痴を言ったり、社会人としての基本ができていないと、「こういうことをしても(言っても)いいんだな」と新入社員が思う恐れもあります。新入社員が、入社して数年の間に見聞きしたことは、新入社員の将来に大きな影響を与えます。ぜひ「見られている」という自覚をもって新入社員育成に取り組んで下さい。

新入社員育成でやるべきこと

ここまで、新入社員育成を行う上司・先輩としての心構えについてお伝えしてきました。では、具体的にどのようにして新入社員を育成・指導すればよいのでしょうか。新入社員育成で具体的にやるべきこととして、特に重要なポイントを3点にまとめました。

  • (1) 業務に必要な情報や知識を教える
  • (2) 振り返りの支援を行う
  • (3) キャリアを考える機会を確保する

上記は、新入社員に限らず、部下育成・後輩育成で大切なポイントです。それでは、それぞれの内容を具体的に見ていきます。

(1) 業務に必要な情報や知識を教える
業務の全体像や目的を伝えてから業務に取り組ませることをおすすめします。
理由としては、業務の全体像や目的が不明瞭だと、業務全体のつながりが見えず、一つひとつの仕事が作業になってしまいがちだからです。また、新入社員がつまづきそうなポイントや想定されるリスクは事前に伝えましょう。そうすることで、本人の不安が解消され、問題が発生した場合も冷静に対応ができるようになります。

仕事の任せ方の具体的な方法として、「任せ方2.0」をご紹介します。「任せ方2.0」とは、当社と立教大学経営学部の中原淳教授と共同で行った「中小企業人材育成実態調査」をもとに開発した考え方です。新入社員に限らず、部下や後輩に仕事を任せる場面でも活用することができます。①~④のステップを意識して伝えることで、部下や後輩が自然と動いてくれるようになります。

<任せ方2.0>

① 意義付け
仕事の内容を伝えるとともに、任せる仕事が所属する組織にとって、また本人にとってどういった意義を持つのか説明することが重要です。そうすることで、新入社員が目的意識を持って仕事に取り組めるようになります。 例)
「『仕事のやり方を見直す』ということが本当の目的です」
「○○さんにとっても、うちの部門の業務についての理解を深めるいい機会になると思います」
② つまづきワクチン
順調に進まない場面や起こり得るリスクについては事前に伝えましょう。また、つまづいた場合の対応方法を事前に伝えておくと、新入社員が一人で悩むことなくスムーズに仕事を進めることができます。 例)
「特に『データ集計』という点には、本当に苦労すると思います」
「データ集計で分からないことが発生したら、田中先輩に相談してね」
③ 意義付け
最初の意義付け、つまづきワクチンを経て、再度意義付けを行います。改めて、仕事の意義を伝えることで、部下は仕事の依頼の背景には自分への期待があることを再度認識することができます。その結果、仕事への主体的な関わりが生まれやすくなります。 例)
「仕事のやり方を改善する大切な仕事だし、○○さんにとってもいい経験になると思います」
④ 自己決定
依頼した仕事に取り組むか新入社員自身に決定をしてもらいます。もちろん業務内容によっては、必ずやってもらなければいけない内容もあると思いますが、自己決定を促すことで、新入社員は当事者意識を持つことになり、仕事への責任感が増します。 例)
「この仕事、引き受けてくれますか?」

(2) 振り返りの支援を行う
近年は、定型の業務が減り、非定型の業務が増えている傾向にあります。その結果、新入社員に任せる仕事も日々同じ業務ではなく、多岐にわたることが予想されます。
そういった環境の中、日々の経験から学びを得てもらい、学んだことをほかの業務にも転用してもらうためには、上司や先輩の振り返り支援(内省支援)が必要です。

具体的な内省支援の方法として、経験学習サイクルの流れをご紹介します。
経験学習サイクルとは、経験したことを効果的に学びに転換する手法で、大きく4つのプロセスがあります。

<経験学習サイクル>

① 具体的経験
日々の業務での経験を指します。特に、新入社員のうちは日々新しい経験をすることばかりです。そのすべての経験が学びの材料となり得ます。 例)
先輩から仕事を依頼されていたが、納期遅れが発生してしまった。
② 内省的観察
上記①で経験したことを多面的に振り返ります。具体的にどのような考えでどのようなことをしたのか、うまくいったこと、失敗したこと、成功・失敗の理由など、具体的に経験したことを「書きだす」もしくは「対話」により抽出します。自分自身の経験を子細に思い描くことが経験学習サイクルの成功のポイントです。 例)
先輩から仕事を依頼されたとき、手元にメモがなく、納期をメモしていなかった。そのあとメモをしようと思っていたが、別の先輩から話しかけられて忘れてしまっていた。
③ 抽象的概念化
上記②で得られた気づきをもとに、今後の業務で応用できる教訓として昇華させ、具体的にどのような行動をとるのかを明確にします。 例)
いつ仕事を依頼されてもいいように、仕事中は普段からメモを持ち歩いておこう。
④ 能動的実験
上記③で得られた教訓を実践の場で試してみます。実践を通じて得られた経験をもとに、再び経験学習サイクルを回すことで、継続的に応用力を向上させることができます。 例)
普段から内ポケットにメモを入れておき、上司や先輩から仕事を依頼されたときにはすぐに取り出してメモをとる。

(3) キャリアを考える機会を確保する
3つ目のポイントは、キャリアについて考える機会を作るということです。多くの場合、新入社員・若手社員は、自分のキャリアについて選択権を持っています。その背景として、売り手市場・終身雇用制度の崩壊などがあります。
このような背景がある中で重要なことは、新入社員に自身の将来を考えさせることです。もしかすると、新入社員・若手に将来を考えさせることに対してリスクを感じる方もいらっしゃるかもしれません。「本人のやりたいことが明確になり、その結果転職を考え始めたらどうしよう」、「転職を防止するためにも外の世界は見せないほうがいいんじゃないか」といった気持ちもあるかもしれません。ただし、当社と立教大学経営学部の中原淳教授と共同で行った「中小企業人材育成実態調査」の結果によると、社員に対して「仕事人としての自身の将来を考え、今やるべきことを実行する」ことが、「自社の愛着」にプラスの影響をもたらすことがわかっています。つまり、社員の将来に対して誠実に向き合うことが、結果的に会社への愛着心を育むことにつながります。
では、どのようにキャリアを考える機会を持つとよいのでしょうか。キャリアを考える切り口や具体的なポイントをご紹介します。

<キャリアを考える切り口(例)>

① 社会人として目指す姿をイメージする
半年後、1年後、3年後にどういった状態になっていたいのかを考えます。 例)
頼れる先輩になっていたい、一人で顧客対応ができるようになりたい など
② 実行できる具体策を考える
上記①を実現するための具体的な取り組みを考えます。 例)
毎朝新聞を必ず読む、自社商品のパンフレットをすべて読み込む など
③ 成長実感できる振り返りを行う
上記①と②で考えた内容が実践できているかを定期的に振り返ります。先輩や上司との面談、人事との面談、研修などで行われることが多いです。月1回~半年に1回のペースで定期的に行うとよいでしょう。周りから見た本人の成長しているポイントをフィードバックすると、本人にとっての大きな気づきとなります。

<キャリアを考えるときの具体的なポイント>

① 遠い将来の目標を考えることに固執しない
企業や自身を取り巻く環境は日々変化しており、キャリアの志向性は遭遇する人々や出来事から影響を受けることも多いです。そのため、10年、20年先の遠い未来を具体的に描くことよりも、まずは近い将来のありたい姿をイメージすることが大切です。
②「今できること」を具体的に聞いていく
目標が絵に描いた餅にならぬよう、まずは「今の業務でできること」を具体的にすることが大切です。ただ、本人の中でイメージがわいていない場合も多いため、上司や先輩がアドバイスすることが必要な場合もあります。

こんなときどうする?

最後に、新入社員の指導担当者の皆さんからよくご質問いただくお悩みと回答例をご紹介します。「こんなときにどうするか?」を一緒に考えていきましょう。

こんなときどうする?~業務の指導編~

  • Q. 部下(後輩)の仕事への意欲が低いです。仕事上のミスが多く、職場の他の社員が困っています。どうすればいいでしょうか?
  • A. 新入社員が同じようなミスを繰り返す、というのはよくあることです。このような場合、どう指導すればいいのか悩む人も多いと思います。そこで、不適切な対応と適切な対応の一例をご紹介します。

    <不適切な対応の例>

    • ・「ミスが多いなんて、やる気がない証拠だ!」と一方的に決めつける。
    • ・「自分が新入社員の時は1つミスするだけで物凄く叱られたものだ、それなのに最近の新入社員ときたら...」と自分の過去と比較して指摘・指導をする。

    <適切な対応の例>

    • ・ 業務の進め方、ミスが発生する理由を本人から聞く(事実確認)
    • ・ 業務上でミスをすることが何故よくないのか理由を伝える(必要性・重要性の伝達)
      例)周りの人に迷惑がかかる、仕事の手戻りが発生する など
    • ・ 具体的な対策を一緒に考える(解決策の立案)
      例)タスク管理表を作成する、毎日10分間の業務報告の時間をとる など
    不適切な対応の例は、相手の状況や考えを理解・確認しようとしておらず、一方的なコミュニケーションになっています。新入社員に対して指導する場合は、現状を確認したうえで、仕事の意義・目的や具体的なやり方を伝えることが大切です。

こんなときどうする?~キャリア編~

  • Q. 新入社員と話していても具体的な目標が出てないことが多いです。昇進したいわけでもなく、スキルアップしたいわけでもない。そんな新入社員とどう接すればいいのでしょうか?
  • A. 無理やり目標を持たせる必要はありません。新入社員のうちは、まずできることを増やすことが大切です。キャリアの考え方の一つに、「Will(やりたいこと) - Can (できること)- Must(やるべきこと)」の考え方があります。このモデルはキャリアを考える際に用いられ、3つが一致している状態が望ましいといわれていますが、どこから考え始めるかが非常に重要です。新入社員のうちは、できること(Can)が少なく、やりたいこと(Will)が明確でない場合も多いため、まずはやるべきこと(Must)に着目するといいでしょう。新入社員にとって、やるべきことはたくさんあります。まずは、やるべきことを積み重ねることで、できることが増え、結果的にやりたいことを見つけやすくなります。

いかがでしたでしょうか。以上が新入社員の育成のポイントでした。
新入社員育成は、企業が成長し続ける上で非常に重要な取り組みの一つです。今回紹介した内容を参考にしていただき、自社の新入社員育成を成功に導いてください。

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