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2017.06.23

女性活躍が進まないのは「ロールモデルがいないから」は本当か?

「女性活躍が推進されないのは女性社員にとってのロールモデルがいないからである」といった意見を、皆さんも一度は聞かれたことがあるのではないでしょうか。女性のキャリアとロールモデルの関係、本当のところはどうなのでしょうか?今回はデータを基にこの点を検証してみたいと思います。

女性に“ロールモデル”を提示すると何が起こるのか?

今このページをご覧になっている皆さんであれば、「男性と比べて女性にはロールモデルとなる社員がいない」といった声を一度は耳にされたことがあると思います。そして「女性社員にロールモデルがいないことが、企業において女性活躍が推進されない大きな理由の一つである」といった声も聞かれたことがあるかもしれません。実際に、ネット上でも「女性がロールモデルを見つける方法」「女性のロールモデル事例紹介」といった主旨の記事等が散見されます。では企業はこの「ロールモデルがいない」状況を改善することで女性活躍を推進できるのでしょうか。

「女性活躍推進に積極的に取り組んでいる先進的企業に勤める若手男女社員」を対象とした調査1で、48.6%の女性が「同性のロールモデルを提示されている」と回答しました。男性は23.3%と女性に比べて半数以下の回答で、女性活躍推進のために企業がいかに女性へのロールモデル提示を積極的に行っているかが分かります。
これに対し「そのロールモデルをお手本にしたいと思う」と回答した女性は55.1%(男性は83.8%)で、企業が提示した“ロールモデル”は残念ながら半数の女性にとってロールモデルとして機能していない状況です。そして、お手本にしたいと思わない理由として最も多い回答は「自分とかけ離れて優秀な存在だから」(32.8%)となっています。少数派である女性管理職をすくい取って、あたかも成功事例かのように“ロールモデル”として女性社員の前に提示することは、女性社員に距離感を感じさせこそすれ、彼女たちから共感を得られることは少ないのではないでしょうか。

※1 「若手男女社員対象アンケート調査」(2014年11月~2015年1月、21世紀職業財団調べ)

「女性社員にはロールモデルがいない」は本当か?

「ロールモデルがいない」と言われたから、社内の女性管理職になんとか協力してもらってロールモデルとして提示したのに、当の女性社員からは「それはロールモデルではない」という評価が返ってきてしまう。次の一手をどうすればいいのか?また協力してもらった女性管理職にはどうフィードバックをすべきか?人事担当者の悩みは深まるばかりです。これらのお悩みに応えていくにはどうすればよいのでしょうか。

そもそも「女性社員にロールモデルがいない」とは、誰が言い出したことでしょうか?今回、当プロジェクトで得たデータに基づいて検証していくと、違った側面が見えてきます。

管理職およびリーダーを対象に「働き始めてから現在までロールモデルとなる人がいたかどうか」を聞いたところ、男性の89.7%、女性の85.7%が「いた」と回答、統計的な有意差は見られず、女性社員にもロールモデルがいることが分かりました。
また、男女とも6割程度の人は「その人の一部分(良い面)だけをお手本」にしていると回答しており、ロールモデルが「私のロールモデルはこの人」と単純化できるものではなく、「こういう面はこの人が理想、でもこういう面はあの人が理想」といった具合に「私の理想像」はもっと複雑なものであると言えそうです。

続いて、「ロールモデルがいた」という人に「そのロールモデルとなる人は社内外どちらの人か」を聞いたところ、「社内 (社内が多い、社内外半々)」という人が男性73.3%に対し女性76.2%、「社外(社外が多い、社内外半々)」という人が男性42.4%に対し女性43.4%となり、ここでも男女差が見られませんでした。

これらの結果からは、男女を問わず、自身のキャリア観に合った働き方で輝いている社内外の先輩ビジネスパーソンをロールモデルにしながら、キャリアを積んでいる様子がうかがえます。女性活躍推進施策としてたびたび「ロールモデルの提示」が挙げられますが、企業から提示される(企業側がこうなって欲しいと望む)“ロールモデル”は、当の女性社員からは求められていないと結論づけられそうです。

今回取り上げたロールモデルという“幻想”のほかにも、様々な勘違いや思い込みが女性活躍を停滞させている一因となっています。「女性の働くを科学する」プロジェクトは、今後も科学をベースにした女性活躍推進を支援してまいります。

※ 調査結果を引用・転載する場合には出典を記載してください。

【出典記入例】

  • 出典:トーマツ イノベーション×中原淳 女性活躍推進研究プロジェクト (2017)「女性の働くを科学する:本調査」(https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/)